木目の種類:柾目・板目・木口を、バウムクーヘンで学ぼう
木目の種類、「柾目」「板目」「木口」って聞いたことがありますか?
丸太をどのように製材したらどんな木目になるのか、丸太によく似たお菓子のバウムクーヘンを使って、勉強してみたいと思います!
ユニークな木目の世界を、おいしくご紹介します。
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この記事の目次
木目の種類その1「柾目(まさめ)」
バウムクーヘンとは、ドイツ語で「木のお菓子」という意味。
その名の通り、まるで木の丸太のような形をしていますよね。
生地を焼き上げながら年輪を重ねていく様子も、木が成長する様子とそっくりです。
そのため、木の作りを勉強するにはもってこいのお菓子!ということで、今回はさまざまなカットを試してみたいと思います。
(芯がないのは実際の木とは違いますがご了承を。)
まずはこちらの写真、バウムクーヘンをイメージすれば、もっとも一般的なカットの仕方でしょう。
木の中心(芯)から放射方向に刃を入れたときにできるのがこの「柾目(まさめ)」という種類の木目です。
年輪がほぼ平行に並んで、ストライプのような模様が出てきますね。
バウムクーヘンの場合、この年輪が均等になっていると、食感も抜群で美味しいですよね!
木材における柾目は、すべてがほぼ同じ方向を向いた年輪であり、非常にすっきりしたシンプルな見た目になります。
和室や建具などではこの清楚な見た目が重視されることもあり、4面すべてが見える和室の柱の場合、4面とも柾目になる「四面柾」の柱が最高級とされています。
また、柾目の板や柱は収縮しにくい特徴があり、収縮率も均一なため、製品としては狂いが起こりにくいというメリットもあります。
ただし、柾目は木の中心を通る線(直径方向)でカットするため、一本の木から板や柱がとれる数が限られています。
そのために、柾目材は希少な材料でもあり、価格も高くなります。
バウムクーヘンの場合は三角形に近い断面でも味には問題ないので、柾目はたくさんカットすることができますが、直角が求められる建築材料となると、そうはいかないのですね。
木目の種類その2「板目(いため)」
次に、こちらの写真です。
バウムクーヘンでは、こんなぜいたくな切り方はしませんよね(笑)
しかし木材では、これは板を挽くときの一般的なカット方法であり、板にしたときに最もよくあらわれる種類の年輪なので「板目(いため)」と言います。
ご覧のように、さきほどの柾目のような真っすぐなストライプではなく、微妙なカーブを描いているのが板目の特徴です。
また、年輪の間隔も中心が広く、端にいくほどせまくなっています。
板目は、木目の中でも最も数多くとれるので、木の年輪といえばこの板目をイメージする人も多いかもしれません。
板や柱など、いろいろな製品で板目が見られます。
木の芯を避けて製材すれば、一本の丸太から何枚もの「板目」の板を取ることができるのでお手頃です。
また、一本一本の木によって年輪のバリエーションがあるため、自然なゆらぎや個性を楽しんだりできるのも板目の特徴です。
ただし、板目は年輪の幅などにムラがあるため、木が乾燥した時に一枚の板の中でも収縮率の違いにより反りや変形が起こりやすいのが欠点です。
専門的に言うと、板目の製材は「接線方向」に刃を入れるということになりますが、バウムクーヘンでは普通やらない切り方、と覚えてもいいですね。
木目の種類その3「木口(こぐち)」
最後にご紹介する「木口(こぐち)」は、バウムクーヘンをそのまま真上から見た時の、輪っかになっている年輪です。
木の口と書くように、丸太の両端の切り口に見える木目の種類です。
この木口を見れば、木の成長の様子がよくわかります。
成長が早くて年輪が粗いもの、楕円形になったもの、波打った年輪などが一目瞭然です。
そのため木口は、木の個性がもっともわかりやすい木目とも言えます。
バウムクーヘンも木口を見れば、どれだけ薄く生地を焼き重ねてあるかなど、美味しさがわかりますよね!?
ちなみに、丸太の根元側の切り口を「元口(もとくち)」、木の上側の切り口を「末口(すえくち)」と言い、丸太を売り買いするときの木の大きさは、末口のサイズで表現することが多いですよ。
しかしながら、木口は製品になったときにはあまり目にすることはありません。
住宅の柱の木口は、継ぎ手になったり壁の中に隠れてしまって見えませんし、板にしたときも、メインに見えるのは板目や柾目の部分です。
和室においては、木材を組んだ時に木口が見えないほうが美しい収まりだとされています。
このように、木口はバウムクーヘンと違って、木材ではあまり日の目を見ることがない年輪です。
最近では、あえて木口だけを見せたユニークな床材や装飾など、空間のアクセントとして活躍する事例もあります。
柾目と板目を比べてみよう
以上のように、建築で一般的によく使われる木目は、柾目と板目の2種類です。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、ここで整理しておきます。
お菓子が美味しく見えるカットを選ぶように、木材を使うときには目的に合わせて柾目or板目を選ぶとよいでしょう。
●「柾目」のメリットとデメリット
◎シンプルで均一な見た目
◎狂いが起こりにくい
×数が多くとれない、四面柾は大径材からしかとれない
×高価
●「板目」のメリットどデメリット
◎個性的で曲線的な見た目
◎一本の木から数が多くとれて安価
×反りや変形が起こりやすい
×見た目のばらつきが大きい
木の個性によって木目はいろいろ変化するよ!
バウムクーヘンといえば、断面が真ん丸で、厚みが均一な生地の層を思い浮かべるでしょう。
お菓子職人が焼き上げた、味も美味しく見た目も整ったバウムクーヘンは絶品ですよね。
しかし、家庭でつくる手作りのお菓子を思い浮かべてください。
生地の厚みもばらばらかもしれませんし、真ん丸ではなく楕円に近いバウムクーヘンもあるでしょう。
自然である木もそれと同じで、育った環境などによって、年輪にばらつきがあります。
成長スピードが途中で変われば年輪の幅も変わりますし、斜面に生えた木などは、どちらかに偏って太っていくこともあります。
そんな木の個性によって、切った時の年輪もさまざまに変化します。
さらには、木の品種によっては年輪が波打って育つものがあったり、長い年月を生きていく中で、木の中にこぶや節などができることもあります。
その断面は、とてもユニークな年輪をしています。
最近は凸凹のある変わった形のバウムクーヘンも登場していますが、そんな年輪が好きな人もいますよね。
いろいろなお菓子を楽しむように、自然の造形である年輪を楽しむという文化も日本では育まれてきました。
今回、写真のモデルとなってくれた端正なバウムクーヘンのような木は、丁寧に育てられた限られた森でしか手に入りません。
実際には、色々な変化のある木を、使う場所や組み合わせを工夫することで、適材適所に使い分けることも必要ではないでしょうか。
奥が深~い、木目の世界。
まずは「柾目」「板目」「木口」の基本的な種類を覚えて、バリエーションを楽しんでみましょう。
まとめ:バウムクーヘンを切って年輪を見てみる?
さて、だんだんお腹が減ってきましたね(笑)
今度おやつにバウムクーヘンを食べる時には、いろいろなカットを試してみて、木目について勉強してみてはいかがでしょうか。
※今回カットしたバウムクーヘンは、撮影後においしくいただきました。