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木材に表裏があるって知ってた?~木表と木裏のはなし~

2018.3.28

突然ですが、木材にはオモテとウラがあるって知ってますか?

普段生活していても気が付かない、建築のプロでも意外と知らない、「木表」と「木裏」のお話です。

あなたは、見分けることができますか?

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木表は木の外側、木裏は内側

まずはじめに、木表は「キオモテ」、木裏は「キウラ」と読みます。

また、木表と木裏が現れるのは、木材を板にしたときで、かつ、木取の中でも「板目」という挽き方にした場合に使います(柾目取りの場合は木表や木裏とは言いません)。

※板目とは、年輪がたけのこのような形になる、年輪に対して接線方向に製材したときの木目。

柾目は、年輪がまっすぐ並行になる、直径方向に製材した木目のことです。

つぎに、木表と木裏の定義は、とっても簡単です。

木を製材して板にしたときに、丸太の外側にあたる面が木表=オモテ。内側(芯に近い)のほうが木裏=ウラです。

なので、感覚的には「木外」「木内」と言ってもよさそうなのですが・・・。

あくまで板にしたときに使い分ける用語なので、表と裏という表現になっています。

外側が木表。

内側が木裏。

まずは、木表と木裏の定義の確認です。

ここまでは、とっても簡単ですよね!?

木表と木裏の見分け方は?

木表と木裏を覚えたら、つぎはどっちが木表なのか木裏なのかを、見分けられることが大事です。

板にしたときの見分け方。それは、木口(年輪が見える面)を見ればわかりやすいです。

木口には年輪が表れていますが、そのカーブの方向を見れば、どちらが木表か木裏かがわかります。

カーブが山になっている方が、木の外側ですから木表。

カーブが谷になっているのは、木の内側であり、木裏ということになります。

また、木口ではなく板目の様子も、木表と木裏ではちがっています。

木表は、年輪がもぐっているような感じ。

木裏は、年輪が乗っている感じ。

とよくいわれますが、正直、慣れていない人が見てもよくわかりません・・・。

しかし、慣れて来れば雰囲気がつかめるようになりますし、熟練の大工さんや製材所の職人さんは、一目見れば瞬時にわかるそうですよ!

とりあえず初心者の方は、木口を見て見分けるのがよさそうです。

木表と木裏がわかれば、板が反る方向がわかる

自然素材である木材は、内部の水分が抜けて乾燥していくと収縮し、反り、割れ、ねじれなどが起こります。

「板」という漢字を分解すると、「木が反る」と書いてありますよね。

この木材の狂いが、家の不具合を引き起こしたり、プロにとってはクレームの原因にもなるので、しばしば木材や建築関係者の頭を悩ませるのです。

しかし、木表と木裏を見分けられれば、木の板がどんな風に反っていくか、予測することができるんです。

結論から言うと、イラストのように、木の板は木表に向かって凹の形に変形します。

これは、木材が乾燥したときの収縮率が、年輪に対して直線方向と接線方向で違うために起こる現象です。

深く考え出すと難しくなりますが・・・とにかく、木表に向かって凹に反る、と覚えておきましょう。

木の反り方を予測することができれば、木の板を張るときに釘を打つ場所を調整したり、木表と木裏を組み合わせることで互いに反りを相殺して抑制したりと、木をなるべく反らせない工夫ができるのです。

木表と木裏。マニアックで些細な違いなように見えて、実はとても重要なポイントなのです。

木材を加工する製材所や、建築現場で施工する大工さんなどは、木表と木裏はいつもチェックして気にかけています。

それでは次に、反り以外での木表と木裏の特徴を比べていきましょう。

木表の特徴とは?

木の板といえば、フローリングや、壁に張る羽目板、野地板、天井板、外壁の板など、目に見えるさまざまな場所に使われています。

これらの板を張るとき、人の目に触れる表面に使うのは、ほとんどが木裏ではなく「木表」の方です。

その理由としては、

・木裏よりも木目が美しく出る

・つやが出る

・木表の方が木の外側であるため節が出にくい

などがあるとされています。

年配の大工さんなどはこのことをよく知っていて、板を張るときにはかならず木表と木裏を見分けて、木表が表面になるように使っています。

文字通り、表には木表を使うのがあたりまえ。

という認識があるようです。

木裏の特徴とは

それでは、木表に対して、木裏はどのような特徴があるのでしょうか。

さきほど述べたように、目に見える部分に使われるのはほとんどが木表ということですから、木裏にはあまりメリットがないのでしょうか?

確かに、木裏は

・年輪がはがれやすい

・床板にすると年月を経て木目がささくれやすい

と言われていて、建築で木裏を見せるのはタブーのように扱われています。

しかし、木裏ならではの特性を生かして、あえて表面に使われることもあるのです。

一つは、能や演劇などの舞台の板です。

この理由は、木の板の反りの方向にあります。

さきほど紹介したように、木表を表面にして張ると、板が凹に反ってしまい、板の端が浮いてきますよね。

そうすると、舞台で演じる人の足がひっかかって、演舞に支障が出てしまうおそれがあるのです。

ですから、木裏を表目にしておけば板は凸に反りますので、その心配がありません。

もし演劇場の桧舞台を見る機会があったら、ちょっと気にしてみてくださいね。

また、もう一つの用途としては、広い面積が必要な一枚板テーブルやカウンターなどにも木裏が使われることがあります。

木裏は木表よりも丸太の中心に近い、つまり太い部分から取りますので、より面積の大きい板が取れるからです。

太い木が手に入りにくい希少な木材などは、あえて木裏を表面(上)にして耳付きで使います。

このように、あまり表に出てこない木裏にも、ちゃんと使いどころがあるんですね。

木表と木裏は使い分けが大事

木表と木裏の特徴や、メリット、デメリット。

それぞれご理解いただけたでしょうか?

・反る方向

・見た目(年輪、節)

・大きさ

などの特性をしっかり理解しておけば、木表と木裏をうまく使い分けることができます。

どんな場所に、なんの木を、どのようなポイントに注意して使いたいのか、それによって木の板の向きまでを使いこなすことは、木造建築や職人のプロへの第一歩。

木表と木裏を使い分けるだけで、建築の仕上がりが違ってきます。

また、最近人気のDIYや木工をするときにも、このような木の性質を知っておけば、よりうまく作品が作り上げられるでしょう。

聞きなれない言葉で、マニアックな専門用語にも思える「木表」と「木裏」ですが、とても大事な視点です。

コツを知っていればすぐにでも見分けられますので、実践してみましょう!

まとめ:世の中なんでも、表も裏も知っていることが大事

木の板には、木表と木裏がある。

これまで何気なく見ていた木の顔が、ちがって見えてきませんか?

木材の表も裏も知り尽くして、木の世界を楽しみましょう!

この記事の編集者

モリップ編集部 MORiP!

MORiP!を運営する編集部のメンバーたちが、選りすぐりの情報をお届けします。あちこちに散らばる森や木についての基礎知識をわかりやすくまとめることを目指しています。編集部みんなで実際に行ってきた森旅もご紹介しています。

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