木材の「赤身」と「白太」って何?その違いとは
木材の部位には「赤身」と「白太」があるって聞いたことありますか?
赤身と白太とは、何が違うのでしょうか、また木材を使うときにどんなことに気を付ければいいのでしょうか。
聞きなれないこの2つの言葉について、知っておくと役に立つかもしれない、その特徴を比較してまとめました。
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この記事の目次
木材の赤身は「心材」、白太は「辺材」のことです
赤身は赤くて、白太は白い?
なんとなくそのくらいはイメージできますよね。
実は、木材の「赤身」や「白太」というのは業界用語で、木材を扱う人たちの間で一般的に使われている言葉です。
赤身と白太のちがいは、スギなどの針葉樹では特にわかりやすく、丸太を輪切りにした時に芯に近い真ん中の部分が赤っぽい色、その外側が白っぽくなっているのがわかります。
この色の違いから、「赤身」「白太」という名前がつけられています。
これを学術的に言うと、赤身は「心材(しんざい)」、白太は「辺材(へんざい)」です。
これは木の成長過程で生まれる違いであり、色や見た目の違いだけでなく、科学的にも違いがあります。
まず、木は肥大成長といって、芯より外側に年輪を重ねていくことで大きくなって行きます。つまり、木の外側にいくほど新しくて若い細胞なのです。
木の細胞は、若いうちは水分を通して柔軟ですが、時間が経つと水を通さずだんだん硬くなり、木の体を支える役目に変わっていき、さらに細胞の中に樹脂成分がたまっていきます。
まだ樹脂成分がたまっていない若い部分が白太、樹脂がたまった成熟した細胞が赤身なのです。
それでは具体的にどんな性質の違いがあるのか、見ていきましょう。
赤身には木材の成分がたっぷりで腐りにくい!
それではまず、赤身の特徴をご紹介します。
「赤身」と聞くと、なんとなくマグロのお刺身を思い浮かべるので「生臭いの?」なんて言われることもありますが、決してそんなことはありません。
一般的に、木材の赤身は白太よりも腐りにくいことで知られています。
赤身の細胞にはたさまざまな樹脂成分が含まれていて、虫に食べられにくくする防虫成分や、腐りにくくする防腐成分が豊富なため、白太よりも腐りにくいのです。
また、木の種類によって独特の香り成分が含まれているのも主に赤身の部分です。
このように、赤身はその木の個性が出やすい部分ともいえます。
赤身の丈夫さは、自然の中でもよくわかります。
森の中に行った時、切り株や倒木をよく見てみましょう。
風雨にさらされて、木はだんだんと土に還っていきますが、まず最初に腐ったり虫に食べられていくのは白太の部分です。
赤身は、ずいぶん長い時間が経っても分解されないため、写真のように木の芯の部分だけが残った切り株なども見つけることができるでしょう。
このことから、赤身は白太よりも耐久性があり、建築では水回りや土台に使われる木材です。
昔の建築を見ると、雨水がかかる門などのエクステリアや、軒先に出る部分も、赤身で作られています。
しかし、白太を含まない赤身だけで柱などの部材を作るには、かなり大きな丸太が必要となるため、赤身材は、貴重で高級な木材としても扱われています。
木材の赤身よりも白太が重宝されることもある
このように、スギなどの針葉樹では赤身の方が希少で、樹脂などの成分が多く含まれ耐久性が高いため、価値が高いとされています。
しかし、白太の方が求められる場合もあります。
たとえば、白太の方が色が白っぽいため、明るい空間にしたいときには、白太だけで木材の見た目を揃えることがあります。
また、赤身は木の芯に近いために節も出やすいことから、節を避けると必然的に白太になることもあります。
さらに、見た目が重視される銘木の世界でも考え方が違います。
白い肌とリップルマークという独特の杢目が人気のトチノキ(写真)は、その白さが評価されるために、赤身の少ない方が、価値が高いのだそうです。
木の価値観は本当に色々ですね。
ちなみに、一枚の板の中に赤身と白太が混ざったものは「源平(げんぺい)」と呼ばれています。
源氏と平氏のカラーである赤と白にちなんでいるそうです。
源平は見た目の統一感はありませんがコントラストが出て個性的です。
フローリングなどを選ぶときには、好みや求める性能によって、木材の赤身、白太、源平をチョイスしてみてはいかがでしょうか。
木材の中には「赤くない赤身」もある?
赤身と白太と呼ばれる心材と辺材ですが、木によっては「赤くない」赤身もあるんです。(この場合は赤身とは呼ばないかもしれませんね。)
たとえば、スギの赤身(心材)の色は木によってとても個性があり、ばらついています。
その木が育った環境や品種により、赤身の色や性質まで違ってくるので、時にはスギの赤身部分が真っ黒に近い色をしているものがあります。
これは「黒芯」と呼ばれていて、水分をたくさん含んでおり、なぜかとても乾燥しにくいため、どちらかというと木材業界では人気がありません。
木材は乾燥しないと重たくて扱いにくく、また狂いが生じやすいためです。
ただし黒芯は、腐りにくくて虫にも強いともいわれ、住宅の土台などには黒芯だけを選んで好んで使う場合もあります。
また、広葉樹の心材の色はもっと様々です。
たとえばホウノキの心材は緑色がかっていて、うぐいす色とも言われる独特の色をしています。
ウルシの木は、なんと鮮やかな黄色をしています。
これも、その樹種独特の成分が詰まっている「赤身」にこそ、特徴が表れているものといえます。
木材の赤身と白太をうまく使いこなそう
このように、赤身と白太には「見た目」と「成分」の大きく2つの違いがあります。
日本では古くから、この2つの違いを分かった上で、建築や暮らしの中でうまく使い分けてきました。
雨水がかかる部分や土台には腐りにくい赤身を使う。
さっぱりした空間にしたい時には白太を使うなど、一つの建築の中でも使い分けています。
また、スギでできた酒樽などは、水に強い内側は赤身、目に見える外側は美しい白太になるように、ちょうど境目の部分をうまく木取りをしたものが最高級品とされています。
さらには、赤身と白太を組み合わせてデザインにしたテーブルなど、使い方はいろいろな可能性があります。
また、赤身と白太が、丸太からどのように切り出されるかを理解していると、木材の有効利用も考えることができます。
たしかに耐久性があるのは赤身なので、できれば「すべて赤身」が使えたらと思う場面もありますが、大きな木でないと実現できないこともあり、コストがかさむ原因にもなります。
うまく性質を理解して赤身と白太を適材適所に使い分けることで、木を余すことなく使うことができ、コストパフォーマンスもよい木の建築ができそうです。
お魚やお肉に部位があるように、赤身と白太のちがいを知っておきたいものです。
木の性質を知っておくと、お家を建てるときや木材を買うとき、きっと役に立つでしょう。
「赤身」と「白太」、覚えておいてくださいね。
まとめ:木材の紅白合戦!あなたはどっちが好き?
赤身と白太は、見た目にも違いがわかりやすい木の特徴の一つです。
あなたは、赤と白、どっちがお好みですか?
木材についての基礎知識の第一歩として覚えたら、暮らしの中に木を取り入れるとき、気にしてみてください。