旅する森と、木の暮らし。

旅する森と、木の暮らし。│MORiP!

智頭杉のまち鳥取県智頭町で森の魅力を味わい尽くす旅

古くからの林業地として知られる、鳥取県智頭(ちづ)町。

そこで育った杉は「智頭杉」と呼ばれ、品質の高い木材として評価されています。

豪雪地帯でも育つその智頭杉を育てているのは、大切に山を守る林業家さんや、木材業を営む人たち。

また、木材以外にも森林からさまざまな産業や生活文化が生まれています。

近年は移住者も増え、ユニークなまちづくりの取り組みで知られる智頭町の旅をご案内します。

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因幡街道の宿場町であり杉の町「智頭町」

智頭町は、鳥取県南東部の岡山県に接する人口約7,400人の山間地域で、その93%を森林におおわれています。

中国山地の豪雪地帯にあり、冬季に山奥では智頭杉の森に雪が降り積もります。

主な産業は林業、農業、木工業、酒造業、そして観光業です。

町の木は「杉」で、至る所に「すぎの町ちづ」の看板があり、マンホールにまでスギのモチーフが!

ここは旧因幡街道の「智頭宿」があった場所で、昔から人の行き交いがさかんな宿場町でした。

そのためか、観光客にもみなさん親切に接してくださるおもてなし気質を感じます。

近年はその恵まれた自然環境や全国に先駆けた「森のようちえん」の取り組みなどから移住者が多く、地元の若者やIターン者による様々なローカルビジネスも生まれています。

アクセスは、鳥取市や鳥取空港から車で約40分、大阪や岡山からは約2時間の距離にあります。

JR智頭線の「智頭駅」があるので、関西方面からは「特急スーパーはくと号」や「特急スーパーいなば号」が便利です(京都から2時間45分、大阪から2時間11分)。

智頭町に来たら必見!林業家の大邸宅「石谷家住宅」

智頭林業の近代化遺産とされているのが、智頭宿の中にある国指定重要文化財の「石谷家住宅」(鳥取県八頭郡智頭町智頭396 TEL:0858-75-3500)です。

石谷家は江戸時代からの大庄屋で、地域の産業振興に貢献してきました。

この大邸宅は、大正8年から10年間かけて建てられたとても豪華な近代建築です。

入場するとすぐに土間の大空間があり、見上げると驚くほど巨大な松の梁が何本も組み上げられていて圧巻です。

山林経営を営んでいたことから、お客さんを迎えるための多くの座敷があり、それぞれに趣の異なる部屋のデザインや木の使い方も必見です。

智頭杉はもちろんのこと、黒柿や北山杉、さまざまな広葉樹がセンス良く使われていて、さすが林業家の邸宅です。

近代のお家なので、全体的に和風建築ながら、どこかモダンな雰囲気もあります。

建築そのものやお庭の風景が楽しめるのに加えて、木が好きな人にとってもたまらない空間です。

建物を見た後は、ぜいたくなお部屋でランチをいただける喫茶室の利用もおすすめ。

お土産コーナーもあるのでここで智頭杉グッズや地元名産の藍染め製品をゲットしたいところです。

■石谷家住宅HP:http://www.ifs.or.jp

智頭杉が並ぶ原木市場を覗いてみよう

智頭町の林業者たちが自慢の智頭杉を出荷するのが、町内にある石谷林業(株)の原木市場(鳥取県八頭郡智頭町大字市瀬1438-1)です。

ここには、智頭町をはじめ特に優良な丸太が集まってきます。

毎月8のつく日にはセリが開催され、全国各地から木材関係者が訪れます。

智頭林業は吉野に並ぶ400年以上の歴史があるとされ、人工林率(森林に占める人工林の割合)は78.3%にも上る林業のまちです。

町内には「慶長杉」とよばれる300年生以上のスギの人工林も存在していて、その歴史の深さを証明しています(民間所有のため非公開)。

智頭杉は豪雪地帯に適応し、雪にも耐えて真っすぐ成長する力強いスギです。

長い歴史と優れた枝打ち技術があり、緻密な木目や柾目を活かして建材や工芸品に使われてきました。

智頭杉の木材の特徴としては、以下の点が挙げられます。

・樹齢60年~100年の優良大径木が揃います。
・年輪が緻密で木目が細かいので、強くて歪いが生じにくい優良材が揃います。
・心材部の材色は鮮やかな淡紅色で、内装材として優美な気品さがあります。
・自然乾燥と人工乾燥でしっかり処置し、歪いが生じにくく高品質材です。
・節のない均一で同質な木材が揃います。
・樹脂が少ないのでヤニが出ず、施工後の手入れが簡易ですみます。
・芳香で木の香りが長く続き、気分を和らげることができます。

(智頭町森林組合HPより引用:http://www.chizushinrin.com/town)

智頭町の森林セラピーはお弁当も一緒に

智頭杉だけでなく、智頭町にはその森林をいかした観光産業として「森林セラピーロード」が整備されており、専門ガイドによるセラピーコースを有料で体験することができます。

森を歩くのとセットでおすすめなのが、智頭町ならではの食材やこだわりで作り上げる「セラピー弁当」です!

以下の

7つの誓い
を守って作られる手作りのお弁当は、健康にも配慮されたやさしい味で、お腹とココロを満たしてくれるでしょう。

一、食材品目数の八割以上を智頭町産の食材を使用すること
一、米は100%智頭町産であること
一、一食の総カロリーが600~800キロカロリ―であること
一、一食の塩分は3.5グラム以下であること
一、旬の食材を入れること
一、お品書きを付け、特徴やこだわり、思いを表現すること
一、愛情をたっぷり込めること

(智頭町森林セラピーHPより引用:http://cms.sanin.jp/p/chizu/sanson_saisei/therapy/food/

セラピー弁当の注文は智頭町森林セラピー推進協議会へ(TEL:0858-76-1111)

3日前までに予約が必要なので、食べたい方はお早めのご注文をどうぞ。

森林セラピーを体験しなくても、お弁当だけを購入することもできるようですので、観光の途中のランチにするなど、このセラピー弁当で地元食材を味わうのもいいですね。

■智頭町森林セラピーHP:http://www1.town.chizu.tottori.jp/therapy

智頭杉の森の中に現れる懐かしい世界「みたき園」

智頭町の中でも特に自然が深い芦津地区には、隠れた名所「みたき園」(鳥取県八頭郡智頭町 芦津707 TEL:0858-75-3665)があります。

智頭町の森の新たな価値を創ろうと、長年をかけてつくられたここにしかない風景が広がっています。

智頭杉の森の中には、各地から移築された茅葺や板葺き屋根の古民家がいくつも点在していて、中でお食事をいただくことができます。

和風の民家だけでなく、洋風の雰囲気のある小さなカフェもあり、それぞれに趣が違っています。

名前の由来になった大きな「滝」が川のすぐ向こうに見え、滝を眺められる川床もあります。

みたき園の森の中には、あちこちに季節のお花が飾られていたり、張り巡らされた小さなせせらぎにはラムネの瓶が冷やしてあったりと、何だか懐かしい、ほっこりするおもてなしを見つけることができます。

古き良き日本の暮らしを知り、胸いっぱいにノスタルジーを吸い込めるような世界観が広がっています。

お料理ももちろん素晴らしいですが、単なる山菜料理屋さんではないこの場所で、ぜひゆっくりと、森の中を歩いてみましょう。

■みたき園facebook:https://www.facebook.com/Mitakien

町ぐるみで取り組む「民泊」で智頭町に泊まる

「疎開保険」でも知られる智頭町では町を挙げて都市との交流を進めていて、「民泊」にも取り組んでいます。

智頭町で暮らす地域の方々のお家が、数多く民泊に登録されていますので、せっかく智頭町に来たら民泊はいかがでしょうか。

登録されているのは、昔ながらの古民家や、木のぬくもりあるお家などさまざま。

またホストになる方々も、色々なご職業や想いを持っています。

ガイドブックをよく読んで、気になるところにリクエストしてみましょう。

旅の醍醐味は、旅先での人との出会い。

普通のホテルではないのでちょっと気遣いが必要だけれど、現地の方とのふれあいは一生心に残るもの。

智頭杉の森に囲まれた、星明りが美しい静かな智頭町の夜を、ホストのみなさんとのあたたかい談笑とともに過ごしてみたいものです。

■民泊の詳細はこちら(智頭町HP):http://cms.sanin.jp/p/chizu/sanson_saisei/1

旅のお土産に、智頭杉グッズ

林業の歴史に森林セラピーと、智頭町の森を満喫したなら、やっぱり「智頭杉」をお土産に持って帰りたいですよね!

智頭杉の製品としては、柱やフローリングなどの建築材料はもちろん、家具やブラインドなども人気ですが、すぐに大きなものは買えないという方には、お弁当箱はいかがでしょうか?

最近お弁当箱として人気が高まっている「曲げわっぱ」の中でも、狂いが少なく見た目も美しいスギの柾目板で作られたものは、一級品として知られています。

年数を重ねていて均等な年輪が特徴の智頭杉は、この柾目板が取りやすいスギの一つなのです。

智頭町では町在住の職人さんが手作りで曲げわっぱのお弁当箱を製造しています。

特におすすめなのが、塗装をしていない「無垢」のもの。

塗装したものよりも香りがよく、水分を吸収してくれるというスギの効果を抜群に発揮します。

お手入れに気を付ければ、長く使うことができますよ。

石谷家住宅の売店などで売られていますので、発見したらお気に入りのサイズやデザインのものをゲットしましょう。

もしも買い忘れた!という方は、ネットショッピングでも販売されていますので検索してみてくださいね。

■参考:ティンバル:http://timbar.base.ec

まとめ:森の魅力を最大限に堪能できる智頭町へ!

杉のまち智頭町には、歴史ある智頭林業だけでなく、森林セラピーや料理園など、森と地域の魅力を存分に楽しめるスポットがたくさんあります。

他にも「森のようちえん」や有名なパン屋さん、ユニークな作物の栽培などでも知られていますので、現地でまだまだ魅力を探してみてください。

この記事の編集者

モリップ編集部 MORiP!

MORiP!を運営する編集部のメンバーたちが、選りすぐりの情報をお届けします。あちこちに散らばる森や木についての基礎知識をわかりやすくまとめることを目指しています。編集部みんなで実際に行ってきた森旅もご紹介しています。

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