日本最古の人工林「歴史の証人」下多古村有林に行ってきた!
日本各地の林業のモデルとなった、吉野林業。
その発祥の地と言われる奈良県川上村には、なんと日本最古の人工林といわれるスギの巨木の森、その名も「歴史の証人」(下多古村有林)がありました。
モリップ編集部では、隠れた名所でありあまり知られていないこの森旅スポットに行ってきました。
山道を歩いて登ること30分、そこで出会ったのは・・・神々しい巨木たちでした!
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この記事の目次
下多古村有林「歴史の証人」がある奈良県川上村へ
奈良県吉野郡川上村は、吉野林業の発祥の地といわれる山村です。
人口は1,500人ほどで林業や温泉などの観光が主な産業。
大滝ダムがあることでも知られています。
吉野林業とは、500年の歴史を持つとされ、日本で一番古いともいわれている植林して育てる林業のこと。
とくに高品質なスギ「吉野杉」が有名です。
吉野林業では、種から育てたスギの苗を、密集させて植えることによって真っすぐ節がない木を育てます。
木を間引く「間伐」を繰り返して、なんと200年という気が遠くなるような時間をかけて育て上げるのです!
この川上村に行くには、最寄り駅の近鉄大和上市駅からバスも出ていますが、今回の目的地「歴史の証人」(下多古村有林)までたどり着くには、車が必要です。
ぜひともお車でお越しください。
車で大阪市内から約2時間、奈良市内から約1時間半かかります。
■川上村へのアクセス(川上村HP):http://www.vill.kawakami.nara.jp/life/docs/2017030900017
「歴史の証人」は下多古集落にある
奈良方面から、ダム湖を眺めながら川上村に着いたら、村役場のある中心地を抜けてそのまま国道169号線を直進。
目的地があるのは、下多古(しもたこ)という集落です。
「歴史の証人」は、正式には「下多古村有林」といい、村の持ち物になっています。
村役場を過ぎて約10分、下多古集落への入り口には、看板が立っていますので見落とさないように!右折してさらに奥へと進みます。
角を曲がってから約2km、細い林道を進み、民家が点在する集落を抜けた辺りに登山道の入り口があります。
ちなみにさらに奥に行くと、名水「下多古の水」が湧いている水汲み場がありますので、登山前に命の水をゲットしたい人はここで補給するのもあり!
■下多古村有林(川上村HP):http://www.vill.kawakami.nara.jp/kanko/docs/2017020200233
登山道が、なんともわかりにくい・・・
「歴史の証人」への登山道の入り口はとてもわかりにくいのでご注意!
じつは「歴史の証人」とか「下多古村有林」と明記された看板がないのです・・。
代わりにあるのが、なぜか「落石注意」の看板(苦笑)秘境感がただよってきます。
なるほど貴重な森ですから、あまりオープンにはなっていないみたいです。
林道の左手にさりげなく立てかけてあるので見落とさないようにしてください。
そして、この看板の裏には、過去に来た人の思いやりでしょうか、登山の杖に使えそうな木の枝が隠されていたりします。
せっかくなのでこのアイテムをゲットして登山開始!
ちなみに近くに駐車場はなく、少し下の方の林道に、少し道が広くなったようなちょっとした駐車スペースがあります。
車2台くらいが限界でしょうか。
そのあたり注意して車の大きさや台数を決めて向かってくださいね。
歴史の証人への登山道は、心の目で見るのじゃ。
歴史の証人に出会えるゴールまでは、約30分。
上り坂が続きます。
登山道と言っても広い道ではなく、けもの道をすこし広げたような、うっすらと細い道に見える斜面という感じ。
人一人が通れるほどの幅です。
道がどこにあるかはだいたいわかるのですが、迷いそうな分かれ道などには印がつけてあります。
心の目で見て進みましょう。
自然の中ですので、途中、倒木が道をふさいでいたり(乗り越えるかくぐって進む)、斜面が崩れていたり(気を付けて進む)するので、歩きやすい服装で、トレッキングシューズかスニーカーは必須です。
また、とくに梅雨の時期や雨上がりの後には、目で見えるほどヒルがうようよしていることもあるので、そんな時は本当に気をつけてください。
あんまり怖がらせるようですみません。
下多古村有林を目指してがんばりましょう!
さっそく吉野杉の巨木の森になった!
険しい道ではありますが、歴史の証人への道中にも絶景が広がっています!
登り始めてすぐに、100年を超えるかという吉野杉の大木が林立しているのです。
この景色だけでも、すでにスゴイ。
200年近い切り株なんかもあるので、上に立って写真を撮ってみたり。
登山道のそばに生えている木はおそらくすべて人が植えた人工林で、よく間伐がされているので明るく気持ちがいいです。
100年や200年前、江戸時代頃に、ここで木を植えた人がいた(多分ちょんまげしていた)ことを想像すると感動的です!そして丁寧な山の手入れが続けられてきたことにも感激です。
下多古村有林は、途中の道のりも感動の連続なのです。
山の境界を表す書き付けを発見
ところで、道中の山は下多古村有林の外であり、一般の方の山です。
木を傷つけたりすることのないよう、むやみに立ち入らないように気を付けながら進みましょう。
その証拠に、山の境界を示すマークがところどころにあります。
一見すると同じように見えるスギの山ですが、区分けされていてオーナーは細かく分かれているのが一般的です。
そのため、自分の山がどこにあるのか、お隣さんとの境界はどこなのかを、印をつけておくのです。
たとえば木の皮をすこし剥いで、そこに墨で名前をどーんと書く。
なにか目印を巻き付ける。
あえて大きな目立つ木を伐らずに残しておく。
などなど。
吉野では代々続く林業家さんも多いので、なんだか歴史を感じる目印を見つけることができますよ。
歴史の証人に着くまで、そんな林業の足跡も探してみましょう。
吉野杉の成長過程、まさに「密植」の様子も見られる
20分ほど歩いて、だんだんと汗がにじんできた頃、突然、山の様子が変わります。
それまでは、大きな吉野杉の木が生えていたのに、おびただしい数の細い木が立ち並んでいる地帯に!
これこそが、吉野林業ならではの景色なんだそうです。
最初に説明したように、吉野杉は植林するときにものすごい密度で植えられます。
一般的には1ヘクタールあたり4~5千本くらいのところ、吉野は1万本も植えるのだとか。
これによって、林の中が暗くなって自然に枝が落ち、節がない木が育つという秘訣なんだそうです。
なるほど、ここに生えているたぶん20~30年くらいの細い木たちが、何度も間伐されていくことによって、100年や200年後にはあのような大きな吉野杉になるんですね!
吉野杉が一人前になる道のりはながい。
でも、下多古村有林「歴史の証人」ゴールまではあとちょっとですよ。
ついにゴール!「歴史の証人」下多古村有林に到着!
岩がゴロゴロした場所を抜けると、突然、視界が明るく開けます。
辿り着いたここが、日本最古の人工林といわれる「歴史の証人」! !
そこに立っているのは、江戸時代に植えられたという樹齢280年~380年という大木たち。
ラスボス感があります。
よく見える所に立っているのは、10本のスギ。
大きなスギは幹回り5メートル、高さ50m。
目を疑うほど、巨大すぎます!これを人が植えて育てたとはにわかに信じがたい光景です。
まさに歴史を見てきた証人という感じです。
また、その周辺には260年くらいのヒノキも42本生えていて何げにスゴイ。
私たちが行ったのはまだ寒い春でしたが、初夏になると森の地面からシダが生えてきて、あたり一面がグリーンになってなお美しくなります。
ちなみにこの下多古村有林は、ただ保護するだけでなく、吉野杉という使うための木であるので、文化財建造物の修理用資材のモデル供給林、研修林となる文化庁の「ふるさと文化財の森」に指定されています。
また、「日本遺産」にも指定されています。
下多古村有林で、思い思いに写真を撮ってみよう
下多古村有林の看板がある入り口からスギの巨木まではけっこうな斜面ですが、せっかくここまで来たので、思い切って近くまで行ってみましょう。
近くで見上げるほど、その巨大さがわかります。
木の大きさは写真では伝わらないかもしれないけど、人と一緒に撮るとすごさも写るのではないでしょうか。
こんな風景めったに撮れないので、インスタ映えすること間違いなしです(笑)
また、意外と気が付きませんが、巨木の上の方に木製の小さなデッキもあるので、ここに上がって上から木を眺めたり、カメラを固定して写真を撮るのもおすすめです。
これであなたも歴史の証人だ!!
写真を撮って、森のすごさを肌で感じて感動したら、気を付けて下山しましょう。
この貴重な森は村が管理していて見学も無料です。
ぜひ村の道の駅でお買い物をしたり、温泉に入って泊まったりして、楽しみながら村にお金を落として帰りませんか。
お土産には吉野杉のグッズを買って帰りましょう!
まとめ:歴史の証人は、ここにしかない絶景でした!
日本最古の人工林「歴史の証人」は、ちょっとわかりにくい秘境にありますが、見ごたえ十分で実際に現地に行ったら感動すること間違いなし。
林業の知識がすこしあれば道中も楽しめるので、この記事を参考にして、気を付けて行ってらっしゃい!