奈良県桜井市・吉野町・川上村で吉野林業を巡るプレミアム旅
500年の歴史を持ち、戦後の日本林業のモデルともなったのが、奈良県南部の吉野地方で編み出された「吉野林業」です。
密植多間伐の施業で長い年月をかけて大径材をつくりあげる吉野林業。
今も奈良県吉野地方では林業や木材産業が根付いています。
今回の旅は吉野林業ダイジェスト。
桜井市から吉野町、そして吉野林業発祥の地・川上村で林業にまつわるプレミアムな名所、観光スポットを巡ります。
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この記事の目次
奈良県銘木協同組合で吉野杉の丸太を見る(奈良県桜井市)
奈良県内に5つある原木市場のうち、桜井市には「奈良県銘木協同組合」(奈良県桜井市生田713-1 TEL:0744-42-0557)の市場があります。
桜井駅から車で約10分。
奈良県内各所から吉野杉や吉野桧の大きく優良な丸太が集まります。
製品市場も併設していて、節一つない製材品や磨丸太、カウンター用の一枚板などが倉庫内に並んでいます。
吉野杉の特徴といえば、何といっても真円に近い真ん丸な美しい断面、緻密にほぼ等間隔に刻まれた年輪、そして節が少ないことです。
また、これは密植多間伐(密度を高く植林して、何度も間伐を繰り返す)という吉野林業の手法によって、成長スピードをコントロールしながら枝を早いうちに自然落枝させることで実現します。
吉野式の丁寧な施業の賜物です。
普段からこのように多くの丸太が並んでいるわけではないので、月に1回ある原木市場の直前か当日に訪れるとよいでしょう。
一般に広く公開されているわけではないので、見学や撮影をしたい場合は事前に許可を取りましょう。
■奈良県銘木協同組合のHPはこちら:http://www.nara-meikyou.com/
原木市場を見下ろすオーベルジュでランチ(奈良県桜井市)
奈良県銘木協同組合のすぐ近く、原木市場を見下ろす丘の上にあるのが、「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」(奈良県桜井市高家2217 TEL:0744-49-0880)です。
ここは全9室のオーベルジュで、箸墓古墳や三輪山を眺められる立地で、奈良の伝統食材を使ったフランス料理を楽しめます。
奈良県が運営する「なら食と農の魅力創造国際大学校」に併設され、リゾートグループの(株)ひらまつが運営しています。
原木市場を眺められる立地にあり、オーベルジュの建物や内装、食器にも杉や桜などの木が多く使われて、はっとさせるようなテーブルの演出に木が一役買っています。
吉野杉のお箸やお弁当箱が登場することもあり、吉野林業を巡るモリップのスペシャルランチとしては文句なしでしょう!
もちろんこだわりの食材やお料理の味も大人気で、数か月先まで予約が埋まっているとか。
ぜひ予約をしてのお出かけをおすすめします。
■オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井のHPはこちら:http://www.hiramatsuhotels.com/plaisance-sakurai/
吉野林業を感じる「吉野杉の家」(奈良県吉野町)
桜井市から車で約30分の吉野町。
吉野杉の製材で栄えた木材の町で、吉野川沿いに製材工場や古い家並みが並ぶ美しい地域です。
その吉野川のほとりに、おとぎ話に出てきそうなかわいらしい木の家が現れます。
「吉野杉の家Yoshino Cedar House」(奈良県吉野郡吉野町飯貝624)は、Airbnbと建築家の長谷川豪氏、吉野町の有志がてがけたコミュニティハウスです。
2016年東京で開催したHouse Visionにも登場した作品です。
外観も吉野杉で作られていて、外から眺めたり写真を撮るだけでも見ごたえがあります。
コミュニティスペースとして地域の人などに利用されていますが、もちろん、Airbnbから予約して宿泊することもできます。
中に入ると、まるで杉の酒樽に入った気分!?
あたたかみがあり、吉野杉の甘い香りに満ちた心地よい空間です。
広い縁側の目の前は吉野川。
のんびりくつろぐのもいいし、BBQをするのもよさそうです。
ホストである吉野町の人たちと交流し、吉野林業や木の話を聞きながら過ごしてみてはいかがでしょうか。
■吉野杉の家HPはこちら:https://www.yoshinocedarhouse.com/
吉野林業の父・土倉庄三郎翁磨崖碑と銅像(奈良県川上村)
吉野町からさらに車で吉野川上流に向かうこと約10分、吉野林業発祥の地、奈良県川上村に到着します。
川上村に入ってすぐ、旧大滝村で私たちを迎えてくれるのが、「土倉翁造林頌徳記念」という文字が刻まれた巨大な岩壁です。
これは一般に磨崖碑(まがいひ)と呼ばれるものですが、個人の人物の名前でこれほどに大きいものは国内でも類を見ないそうです。
ここに書かれた土倉翁とは、「吉野林業中興の祖」「日本林業の父」ともいわれる、川上村生まれの大林業家・土倉庄三郎(1840-1917年)のことです。
林家に生まれた土倉は「土倉式造林法」を編み出し、吉野のみならず日本各地や台湾にその技術を広めました。
また、借地林業の制度を整え、道路や吉野川改修などのインフラ整備で吉野林業を進歩させました。
さらには自由民権運動や同志社大・日本女子大の設立にも資金的な援助をした、日本の歴史を陰で支えた山林王です。
土倉翁の功績をたたえ、磨崖碑のそばの生家跡には銅像が建てられています。
林業にまつわる偉人に触れ、歴史を感じるスポットです(奈良県吉野郡川上村大滝、大滝郵便局近く)。
400年の杉がそびえる日本最古の人工林へ!(奈良県川上村)
道沿いにある吉野杉の森を眺めるのもいいですが、せっかく奈良県の山奥、川上村まで来たのなら、ハイキングを兼ねて「下多古村有林」に行ってみましょう。
なんと樹齢400近い吉野杉が立ち並ぶ、日本最古といわれる人工林があり「歴史の証人」と呼ばれています。
400年前といえば江戸時代初期に、先人たちの手で植えられたことになります。
林道沿いにある登山口から、細い山道を歩くこと約40分。
道中には、100年近い立派な吉野杉や、吉野林業方式で密植された成長過程の林、巨大な切り株などを見ることができ、見ごたえ十分です。
現地に着くと、巨大な吉野杉が約10本、周辺にも大きなヒノキが立ち並んでいます。
大きな物では直径164cm、幹回り515cm、高さ約50mに達します。
文化庁の「ふるさと文化財の森」、日本遺産(吉野)指定。
登山口は下多古集落から1kmほど山奥に進んだ左手にありますが、わかりにくいので小さな看板を見落とさないようにしてください。
また、山道は斜面や倒木があり、夏にはヒルが出るところもありますので、服装や装備に注意して行きましょう。
ゴールにはすばらしい景色が待っています。
■下多古村有林について:川上村役場HP:http://www.vill.kawakami.nara.jp/kanko/docs/2017020200233/
吉野林業発祥の村で温泉と懐石料理(奈良県川上村)
吉野林業発祥の地というだけでなく、古くは大台山系のへの参詣道として知られる川上村には、意外にも旅館が数多くあります。
また、湯盛温泉や入之波温泉など温泉も湧いていますので、旅の疲れを癒すのにもぴったりです。
最近ではゲストハウスもオープンしているので、旅の目的に合わせてお宿を選びましょう。
アクセスがよいアメニティの充実したホテルで温泉を楽しみたいなら、湯盛温泉の村営ホテル「ホテル杉の湯」(奈良県吉野郡川上村迫695 TEL:0746-52-0006)へ。
湯盛温泉を源泉とする「金明の湯」「銀嶺の湯」の2つのお風呂があり、どちらも高野槙の木の湯船でやわらかいお湯を楽しめます。
日帰り温泉も利用OKです。
客室には吉野杉を随所にあしらった家具や、和室の部屋もあり、とても快適に過ごせます。
夜はぜひ季節の食材を使った懐石料理を。
また吉野名物「茶がゆ」の付いた朝食もおすすめです。
■ホテル杉の湯ご予約はHPから:http://www.suginoyu.com/
■その他のホテルはこちら(川上村観光協会HP):http://www.vill.kawakami.nara.jp/kanko/bunya/k-onsen/more.html
お土産なら木工房「吉野杉工房」へ(奈良県川上村)
(画像引用元:吉野杉工房HP:http://yoshinoringyo.jp/yoshinosugi-kobo/index.html)
「吉野杉工房」は、川上村内にある村営の木工施設(奈良県吉野郡川上村大字東川698-1 TEL:0746-53-2133)。
吉野杉を使ったさまざまな製品を製造・販売しています。
テーブルや椅子などの大きな家具は、吉野杉をはじめとして、トチなどの広葉樹を使ったものも製造しています。
サイズや板を選んでオーダーメイドで家具を注文することもできますので、気になる方は売店横の工房を訪ねて、職人さんに相談してみましょう。
また、吉野杉の柾目を使ったトレーなどの「柾波シリーズ」や木製の時計など、買ってすぐ持ち帰ることのできる生活雑貨も販売しています。
ちなみに吉野杉の高級割箸も、ここならお求めやすい価格でまとめ買いすることができてオススメです。
吉野林業をテーマに、家族や友人へのお土産も探すのが楽しいひと時です。
まとめ:吉野林業発祥の地を満喫!
吉野杉の美林を肌で感じ、原木市場や木工に携わる人と出会うプレミアムな旅。
グルメや温泉とセットになれば大満足の旅ですね。
吉野林業発祥の地でその歴史を学べば、きっと吉野杉を身近に感じるはず。
旅の思い出とともに、吉野杉を毎日の暮らしにも取り入れてみたいですね。
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