旅する森と、木の暮らし。

旅する森と、木の暮らし。│MORiP!

高野山の林業を代表する「高野六木」とは

日本のブランド木材には、○○杉といった1つの樹種だけでなく、地域を代表するいくつかの樹種がセットで地域林業の代名詞になっているものがあります。

今回ご紹介するのは、和歌山県は高野山で大切にされている6つの木「高野六木(こうやりくぼく)」です。

高野山真言宗の発展と深く結びついたこの「高野六木」についてまとめました。

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「高野六木」とはどんな木?

高野六木とは、高野山の森を代表する6つの樹種のことで「こうやりくぼく」と読みます。

6種類の木には、スギ、ヒノキ、コウヤマキ、アカマツ、モミ、ツガ、が選ばれています。

高野山といえば、高野山真言宗の総本山・金剛峯寺をはじめとする真言密教の聖地として知られていますが、高野六木と真言宗の関わりはあるのでしょうか。

高野山は、816年に弘法大師空海により真言密教の道場として開かれました。

広大な森林の中に、いくつもの寺院や伽藍が築かれましたが、長い歴史の中で建物を焼き尽くす火災が絶えなかったそうです。

その度に、再建・修復のための木材が大量に必要になってきたのです。

文化10(1813)年には、寺院の建築用材として特に重要なスギ.ヒノキ.コウヤマキ.アカマツ.モミ.ツガ.は制木とされ、高野六木が設定されました。高野六木は、寺院や伽藍の修繕用材以外の伐採は禁止されました。このように、高野山の周囲の山々は、開創以後長年にわたり高野六木を中心にした森林の保護育成が図られてきました。
(高野山真言宗総本山金剛峯寺HPより引用:http://www.koyasan.or.jp/forest

このように、高野六木とは、真言密教を支える欠かせない有用な木として、長年高野山で守られてきた木のことだったのです。

出会える高野六木:伽藍中門の「ヒノキ」

ミシュランガイドにも掲載された世界的観光地として有名な高野山には、一度は訪れてみたいという方も多いのではないでしょうか。

壮大な歴史や文化を感じる高野山の旅の中で、ちょっと視点を変えてみると、至るところで「高野六木」にも出会うことができます。

そんな「出会える高野六木」の中から、いくつかをご紹介しましょう。

元々、寺院建築に欠かせない木材として制定された高野六木。

建築用材の代表格といえば、やはり何と言ってもヒノキでしょう。

高野山の森や伽藍の境内にも、立派なヒノキの大木が育っています。

2015年に開創法会1200年を迎えた高野山では、1843年に焼失してしまった伽藍「中門」の再建事業が行われました。

この中門の再建にあたって何本ものヒノキの大木が必要となりましたが、高野六木を大切に育てていたおかげで、高野山で育ったヒノキを使うことができました。

その痕跡として、壇上伽藍の西塔の裏には、柱の一本に使われた樹齢374年のヒノキの切り株が残されています。

大きな木々の間に立っていたこのヒノキは、伐採してヘリコプターで運び出され、宮大工の手により手刻みで加工されたそうです。

伝統的な建築手法で再建された中門は、鮮やかな朱色で彩られた姿を見ることができます。

残されていたかつての礎石の上に柱を立てるために、宮大工の手によって、石の凹凸に合わせて一本ずつ手作業でヒノキの柱の木口が削られたそうです。

丸い柱の表面にも、槍鉋を使って人の手で削られた味わいのある陰影を見ることができますよ。

この切り株と中門の立ち姿を見る時、高野六木を中心に「高野山の木を高野山で使う」という、聖地高野山で連綿と受け継がれてきた営みの歴史を感じることができるのです。

出会える高野六木:仏花であり優良木材「コウヤマキ」

高野山の町では、至る所で高野六木の一つである「コウヤマキ(高野槙)」が売られているのを見かけます。

これは、高野山真言宗で仏前にお供えされる植物であり、花ではなくコウヤマキの枝葉を供えます。

また、高野山の町中を歩くと、コウヤマキの生垣や大木も見ることができて、町の人達にとって、とても身近で大切な木であることがわかります。

高野山周辺の山では、この枝葉を採るためにコウヤマキの木が栽培されています。

枝葉を採りやすくするため、木を高くしないように剪定しながら育てているので、人の背丈ほどの小さなコウヤマキの木が山の斜面一面に立ち並んでいる不思議な光景が見られます。

この風景は、南海電鉄高野線の車窓からも見ることができますので、高野山に近付いて来たら、窓の外を気にして見てみましょう。

コウヤマキは、枝葉が利用されるだけでなく、木材としても優良な木です。

古代から日本で重要視されてきた木であり、耐久性があって腐りにくいため、「棺桶に使うとよい」という記述が日本書紀にも書かれているほどです。

高野山ではその耐久性を活かして、コウヤマキの木材が屋外の柵などに使われているのが見られます。

また、コウヤマキの木には独特の甘い芳香があり、黄金色にも見える黄色がかった色をしていて、高級な木のお風呂「槙風呂」にも使われます。

このように、名前にも「高野」がついているほど、コウヤマキは高野山にとって枝葉も木材も身近で大切な木なのです。

高野山の旅の中で、ぜひ高野六木を見つけてみましょう!

食べる高野六木:銘菓「高野六木」がかわいい!

高野山といえば、精進料理やごま豆腐のイメージがありますが、意外とたくさんの和スイーツにも出会うことができるのをご存知ですか?

美味しくて見た目にも可愛い和菓子があって、銘菓「みろく石」、麩饅頭「笹巻あんぷ」、その他、酒まんじゅうや草餅などが店頭で売られていて目移りしそうです。

お土産にしても喜ばれるし、喫茶コーナーのあるお菓子屋さんもあるので、休憩タイムにはぜひ味わいたいところです。

ところで、高野山の文化に深く根付いている高野六木は、なんと高野山のお菓子にもなっているんです!

その名も銘菓「高野六木」。

小判型の麩せんべいに、高野六木それぞれ6種類の木のイラストが焼印で押されていて、見た目にもかわいいお菓子です。

しかも、6種類それぞれに味が違っていて、仏手柑、和三盆、はったい粉、生姜、黒糖、味噌、があります。

どの木がどの味なのかは、実際に食べて確かめてくださいね。

さくっ、ふわっとした食感と、舌の上でじわっと広がる上品な甘さは、お茶菓子にぴったり。

パッケージも美しいので、森旅のお土産にもいかがでしょうか。

買える高野六木:高野杉でできた「高野霊木」

(画像提供:高野霊木 https://www.koya-reiboku.com

高野六木は、私たちの暮らしに取り入れられる素敵な商品にもなっています。

高野山真言宗総本山金剛峯寺は、高野山の森に広大な山林を所有していますが、その山林で育てられた高野杉が「高野霊木(こうやれいぼく)」として販売されているのです。

高野霊木は、高野山の林業において森林を手入れする中で産出された木を利用しています。

主な商品としては、「高野霊木の柱」「高野霊木の机」「高野杉フローリング」があり、お家の新築やリノベーションをする時に使ったり、机はダイニングやオフィスに導入できそうです。

製品を購入すると、希望者特典として、高野山の森から産出されたという証明書と「高野霊木」の文字の焼き印を付けてもらうことができます。

産地が分かるトレーサビリティもばっちりですね。

高野山の木を使うことで林業の循環に貢献し、1200年の森づくりに参加できるというコンセプトの高野霊木。

真言宗の檀徒さんには信仰の一環として、またそうでない人も一生に一度の家づくりの記念に、高野山ファンとしても自慢できる一品になりそうですね。

■高野霊木HP:https://www.koya-reiboku.com

高野山の森を未来へつなぐ“献木”のすすめ

金剛峯寺の森林を管理する山林部では、森林整備のための寄付「献木(けんぼく)」事業を行っています。

高野山の伽藍や寺院で、一口2,000円の献木を受け付けていて、献木をすると1口につき高野杉で作った「五色腕輪念珠(ごしきうでわねんじゅ)」を頂くことができます。

ほんのりスギのいい香りがする念珠は、ブレスレット感覚で身に着けることができるので、高野六木をいつも身近に感じることができますね。

また、一度に5口以上を寄付した方には、高野霊木でできたカレンダーが特典になっています。

寄付金は、植林のみならず、森林の育成に必要な間伐などの整備にも活用されるそうです。

高野山の森を守ることは、寺院建築に必要な木材を育てるだけでなく、信仰のための空間や環境を守る「尊厳護持(そんげんごじ)」にも貢献します。

また、真言宗の教えにある「共利群生(きょうりぐんじょう)」が表すように、生き物が支え合う生態系の保護という意味もあります。

「献木」は、1200年にわたり高野山と共にあった森林に貢献できる、一つのチョイスです。

高野山の森旅にでかけたら、感謝を込めて献木してみてはいかがでしょうか。

■献木についてはこちら(金剛峯寺山林部HP):http://www.koyasan.or.jp/forest

まとめ:高野六木は、真言密教の教えそのもの!

高野六木は、高野山の文化のさまざまな面に、深く根付いた木でした。

真言宗の教えには、「禽獣草木皆是法音(きんじゅうそうもくこれみなほっとん)」=生きとし生けるものすべて仏様の教えである、という言葉があります。

「高野六木」と出会い暮らしに取り入れてみて、その声に耳を済ませれば、大自然からのメッセージが聞こえてきそうです。

この記事の編集者

モリップ編集部 MORiP!

モリップ編集部 MORiP!

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