意外とお世話になってます、スギの葉の使い方いろいろ
日本でもっとも多く植林されていて、木材として、とても身近な木、スギ。
じつは木材だけでなく、その「葉っぱ」もいろいろな形で利用されているのをご存知ですか?
知らないところで意外とお世話になっている、スギの葉の使い方について、昔ながらの使い方、最近の使い方、をまとめました。
スポンサーリンク
こんな記事もよく読まれています
スポンサーリンク
この記事の目次
伝統的な使い方:スギの葉で作る神様への捧げもの「杉玉」
造り酒屋の軒先などでよく見かけるのが、この丸いナゾの物体。
緑色だったり茶色だったりしますが、一体なんなのでしょうか?
これが実は、スギの葉でできた「杉玉(すぎだま)」というものです。
「酒林(さかばやし)」ともいい、その名のとおり、お酒と縁が深いものです。
これは元々は奈良県にある日本最古の神社、大神神社(おおみわじんじゃ)が発祥といわれていて、この神社の神様の印であるスギを、捧げものとしたことから始まったそうです。
この大神神社がお酒の神様であったことから、お酒の神様に感謝をささげる「杉玉」へと変化していったようです。
杉玉は、まだ青いスギの葉を、ボール状の芯に刺していき、形を整えて作り上げます。
造り酒屋では新酒ができたときに青い杉玉が飾られ、「新種できました」というサインになっています。
だんだんと杉玉の色が茶色くなることで、お酒が熟成したことがわかります。
できたての杉玉は、スギの葉のいい香りがします。
伝統的なスギの葉の使い方である「杉玉」は、神様にささげるユニークなオブジェですね。
伝統的な使い方:「線香」もスギの葉でできていた!
日本の神様ともかかわりがあるスギの葉ですが、仏教の中でも活躍しています。
それが、スギの葉でつくる「杉線香」です。
もともと仏教とともに伝来した線香の原料は、タブの木の樹皮や白檀などの香木で作られていましたが、それが日本ならではの材料であるスギの葉で作られるようになったのです。
スギは日本各地に生えていて葉っぱが大量に手に入りやすく、安価に作れるようになりました。
これもスギの葉の伝統的な使い方ですね。
杉線香は、乾燥させたスギの葉を粉末にして、糊などと混ぜて成型し、乾燥させてつくります。
昔は水車の力を使って粉に挽いていたそうです。
スギの葉は芳香があり、またヤニが多いので儀式に欠かせない煙がたくさん出ます。
最近は香料や化学的に合成された原料が使われることも多い線香ですが、今でも昔ながらの製法で杉線香を作っているメーカーもあるので、自然素材にこだわる方はチェックしてみて。
食卓の彩に!「つまもの」としてのスギの葉
世界文化遺産にも登録された、和食。
評価されたポイントのひとつが、自然の美しさや季節の移ろいを表現する飾りつけです。
季節やシーンに合った器に盛り付け、季節の花や葉を料理に添えるのが特徴の一つですよね。
そんな和食で活躍するさまざまな葉のことを「つまもの」と呼びますが、樹木の葉っぱも多く使われています。
ここでは、スギの葉は長持ちしてボリューム感もあるので、おせち料理や鮮魚の飾りつけなどに使われています。
また、クッション材として野菜やキノコ類の下に敷いて箱詰めされているのを見かけることもあります。
つまものが料理に添えられる理由は、見た目の華やかさだけでなく、自然の葉っぱに抗菌作用があることもポイントです。
葉っぱの見た目と効果を活かした使い方ですね。
スギの葉は身近に手に入りやすいので、本格的な和食だけでなく、日々のちょっとしたテーブルデコレーションにも使えそうですね!
よく燃えるんです、スギの葉の「焚き付け」
田舎や寒い地方に行くと、薪で暖をとったりお風呂を沸かしている家庭もまだまだ多くあります。
そんな地域で見かけるのが、家の軒下などにスギの葉が積んである光景。
これは薪とセットで欠かせないもので、最初に火をつける「焚き付け」に使うのです。
燃料としての使い方です。
スギの葉は油分を多く含んでいるため、よく燃える着火剤として使えるのです。
山村地域ではスギの葉は身近に手に入りやすいため、スギの木を伐採したときには葉っぱも保存しておいて、茶色くなるまでよく乾燥させ、焚き付けに使うのです。
乾燥したスギの葉はとても火が付きやすく、強い火力であっという間に燃え上がります。
このことを知っていれば、たとえばバーベキューのときに拾ってきて着火したり、火が必要な防災のシーンでも役立つことでしょう。
エネルギーの面でも、私たちはスギの葉にお世話になっているのでした。
ブーム到来!スギの葉の「アロマオイル」
スギの葉は、現代的でおしゃれな使い方も開発されています。
たとえば、スギの葉の成分を抽出してつくるアロマオイル。
スギの葉には精油が豊富に含まれていて、すっとするような、ほんのり甘い香りが特徴です。
頭を活性化させる刺激的なヒノキの香りに対して、スギはリラックスできる落ち着いた香りがします。
近年のアロマテラピーブームは続いていますが、精油の多くは外国産の原料から作られています。
そこで国産のアロマとして豊富に手に入るスギの葉も注目を浴び、各地で商品が開発されています。
スギといっても地域やスギの品種、抽出方法などによって、香りも微妙に違ってくるので、あなたのお気に入りを探してみましょう。
また、スギの葉のアロマオイルを使った、石鹸などのコスメもあります。
日本人になじみのあるスギの香りが、新しい形でいま注目されています。
スギの葉のおしゃれな使い方♪リースやアレンジメントに
昔から「杉玉」など、スギの葉を飾る文化があった日本。
海外でも、常緑樹を生命力の象徴として飾る文化がありますよね。
たとえばクリスマスリースが代表的なものですが、これは冬でも枯れない葉の緑色が、永遠の命を表しています。
日本でもすっかり定着したクリスマスシーズンの飾りつけ。
最近は、身近にある材料で手作りする人もいますが、ここでもスギの葉っぱが登場です!
スギの葉を束ねて輪っかにすれば、ボリュームのある、なかなか豪華なフレッシュリースに早変わり。
松ぼっくりや南天の実などを飾り付ければ身近な材料だけでリースができます。
スギの葉は時間が経つと茶色く枯れていきますが、涼しいところでは一ヶ月ほど緑色を楽しめます。
茶色くなっても意外とおしゃれです。
また、スギの葉はグリーンとして、フラワーアレンジメントの一部に使われることもあります。
このように緑色のスギの葉は、色々なシーンを彩るデコレーションとしても、楽しめるのです。
こんなおしゃれな使い方はいかがですか?
スギの姿そのままで「クリスマスツリー」に
(画像引用元:http://blog.goo.ne.jp/kyotokitayamamaruta/e/421476ab5ff73bf004612d092a519247)
スギの葉は、元々は木についているもの。
そのスギの木の立ち姿のまま使ってしまおうという大胆でわかりやすい使い方が、スギのクリスマスツリーです!
クリスマスを迎える冬は、ちょうどスギの伐採に適した旬のシーズン。
伐採した木の先端をカットすれば、そのままツリーの形になりますよね。
もしくは、身近にスギの木が生えているなら、生きている状態のままで飾り付けてもいいかもしれません。
本来はモミの木を飾るクリスマスツリーですが、これも日本流のアレンジ。
地域によってはツリーとしてカットしたスギを販売しているところもあるので、「せっかくだから生の木を飾りたい」「でも生きている木を年中育てておくのは大変・・」という方には使い捨てできるスギツリーはもってこいですね。
なんと飲むスギ!?「杉の葉茶」を発見!
最後にご紹介するのは、なんとスギの葉をドリンクにしてしまうという究極の使い方、その名も「杉の葉茶」です。
スギの葉を粉末にしたものを、お茶と同じように煎じていただきます。
お茶と違ってカフェインが入っていないので、健康茶として飲むようです。
飲み方としてパッケージに書かれていたのは、
・杉の葉茶だけを急須で淹れて日本茶風に飲む
・紅茶やコーヒーにまぜたり、レモンやはちみつを入れて飲む
・冷茶として冷やして、また麦茶にまぜて飲む
だそうです。
実際に飲んでみると、とてもさっぱりしたお味で、スギと言われなければわからないかもしれません。
意外と飲みやすく、ハーブティーのような感じです。
もしかしたら花粉症に効くかも・・と淡い期待を抱きながらいただきました。
まとめ:まだまだあるかも?スギの葉の使い方
このように、スギの葉はその形や成分をいかして、オブジェやアロマ、燃料、そしてなんと飲物としても使われていることがわかりました。
日本にたくさんあるスギの葉の使い方には、まだまだ可能性がありそうです。
身近にスギの葉がたくさんある、あり余っているという方は、参考にしてみてはいかがでしょうか?