日本の暮らしに取り入れたい。木の伝統的工芸品6選
長い歴史と匠の技、そして美しさを持つ日本の伝統的工芸品の数々。
日本各地で伝統的工芸品に指定されている物の中には、その土地にある材料を使った木製品も多くあります。
今回はその中でも、現代の暮らしに取り入れやすそうな工芸品6つをピックアップしてご紹介します。
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この記事の目次
お弁当箱が今でも人気!「大館曲げわっぱ」(秋田県)
現代の暮らしにも最も取り入れやすい工芸品の一つが、秋田県の「大館曲げわっぱ」です。
曲げわっぱのお弁当箱といえば、秋田県出身のモデルさんがインスタで取り上げたことでも、人気が出ましたよね。
木がご飯の水分をほどよく吸ってくれる、見た目がおしゃれ、香りがいい、などの理由から、最近再びお弁当箱として人気が高まっています。
産地は秋田県北部の大館市が中心で、今でも曲げわっぱ製品を製造するメーカーが多くあります。
大館曲げわっぱは、銘木・秋田杉をはじめとするスギの柾目板を曲げて作り上げる伝統的工芸品です。
天然素材である木の板を蒸して曲げる加工には、熟練の技に加えて、年輪の詰まったよい素材が欠かせません。
スギの木の優しい表情と、なめらかにカーブした曲げわっぱのフォルムが、高級感の中にあたたかみを加えています。
プラスチックのお弁当箱よりもちょっと値段は高いけど、1つは手に入れたいものですね。
この曲げわっぱ、お弁当箱以外にもお盆や重箱、さらには現代的なデザインの花器やコーヒーカップなども作られていますので、きっとお気に入りが見つかるでしょう。
樹皮を使った伝統的工芸品「樺細工」(秋田県)
同じく秋田県から、木の伝統的工芸品をもう1つご紹介。
今度はスギではなく、サクラを使った「樺細工(かばざいく)」です。
これは、サクラの木の樹皮を張り付けて装飾する工芸品で、昔から高級茶筒などがよく知られています。
樺細工と言いつつも、素材はカバの木ではなくサクラ(山桜)です。
サクラの樹皮は深みのある焦げ茶色をしていて、横向きに入る筋模様が特徴的です。
また、磨き上げると美しい光沢が出ることから、高級感ある仕上がりになります。
春に花を咲かせる山桜を縁起の良いものとして、おめでたい席や御祝い品などにも用いられています。
主な産地は、秋田県仙北市角館。
「みちのくの小京都」ともいわれる武家屋敷が並ぶ街並みがあり、観光地としても人気のスポットになっています。
樺細工はここで、下級武士の副業として始まったそうです。
樺細工製品には、茶筒だけでなく、お箸やボールペン、名刺入れなど、サクラの樹皮をあしらったグッズが様々あり、ちょっと大人びた木のアイテムが欲しい人にはぴったりです。
ブームが再燃!「宮城伝統こけし」(宮城県)
昭和時代の東北のお土産と思われていた「こけし」ですが、その何とも言えない表情やバラエティに富んだデザインが人気となり、近年、ブームが再燃しています。
そんなこけしは、実は「宮城伝統こけし」として宮城県の伝統的工芸品になっているんです。
こけしは、江戸時代に温泉土産として生まれたと言われる、ろくろで挽いた木の人形です。
その名前の由来は「木牌子」「木形子」など、木から来ているようです。
こけしは東北地方で広く作られていますが、そのデザインには地域によって土湯系、弥治郎系、鳴子系、といった系統があり、表情や形が微妙に異なっていて、それがコレクターにはたまらないようです。
ところで、こけしは何の木でできているかご存知ですか?
その樹種は、主にミズキやイタヤカエデといった広葉樹です。
これらの木材は白っぽく年輪があまり目立たないのが特徴で、こけしの絵をよく見せるのには最適な材料です。
これをろくろで挽いてこけしを作り上げます。
西日本ではあまり見かけない木ですが、冷涼な気候の東北の落葉樹林にはよく生えている樹種なんです。
あの愛らしいこけしも、地域にある素材を生かして作られているんですね。
東北観光に行ったら、可愛いこけしを連れて帰りたくなっちゃいます!
「箱根寄木細工」の現代デザインがかわいい(神奈川県)
こちらも関東で屈指の人気を誇る観光地、神奈川県の箱根市。
箱根のお土産といえば、やっぱり「箱根寄木細工」ですよね。
どこのお土産屋さんでも、必ずと言っていいほど売られています。
東海道の関所がある箱根。
険しい山に森林資源が豊富だったこの地では、森の木々を生かした伝統的工芸品として、寄木細工が生まれました。
麻の葉などをモチーフにしたカラフルな幾何学模様は、すべて自然の木の色で作られているというから驚きです。
寄木細工の材料となっている樹種は、色別に白(ミズキ、マユミ、アオハダ)、黒(カツラ、神代)、黄(ニガキ、クワ、ウルシ)、茶(エンジュ、アサダ)、青(ホウ)、などがあります。
最近では外国産の様々な樹種も使われてさらにカラフルです。
これらの木を細長く加工して接着し、スライスしたり削り出すことであの繊細な模様が表れます。
昔ながらのお土産品といえば「ひみつ箱」やお盆などが思い浮かびますが、最近では若手作家による新しいデザインも生まれていて、現代の暮らしにも合うおしゃれな雑貨やアクセサリーが数多く登場しています。
箱根土産には、日常で使えるかわいい寄木細工をゲットしてくださいね。
伝統的工芸品「南木曽ろくろ細工」の木製食器(長野県)
伝統的工芸品の多くは江戸時代頃に確立されたものですが、そのルーツを辿っていくとかなり古い歴史を持つものもあります。
古代から日本各地の山にいたという、「木地師」という集団をご存知ですか?
お椀などの挽物を、トチやケヤキといった大木から削り出して作る人たちのことで、森の資源を伐りつくさないように、定住せずに各地を転々としながら暮らしていたといいます。
木地師の発祥は関西と言われていますが、その末裔とされる人たちが今も多くいるのが、長野県から岐阜県にまたがる木曽地方です。
「南木曽ろくろ細工」は、ろくろで削り出した食器などの木製品のこと。
木曽地方は山深く、今でも天然の大きな木が豊富にあることから、この地域でろくろ細工が定着したのもうなずけます。
昔ながらのろくろ細工としては、漆をかけたお椀やお盆が知られていますが、最近では自然塗料などで仕上げ、木目や木の色をそのまま生かしたナチュラルな食器も登場しています。
これなら、人気の北欧風のインテリアにも合いそうですし、何種類かの樹種を集めてみたくなりますね。
歴史と最近のトレンドとが融合したおしゃれな器が、じわじわと人気を集めています。
能登ヒバが支えた伝統的工芸品「輪島塗」(石川県)
日本海側の厳しい冬に家の中でする手仕事から生まれた伝統的工芸品が、北陸地方には数多くあります。
高級漆器として知られる石川県輪島市の「輪島塗」も、そんな一つでしょう。
数ある漆器の中でも、厚手の木地に布や漆、珪藻土を繰り返し重ねて作り上げる輪島塗は、とても丈夫であることで知られてています。
輪島塗は江戸時代に北前船により全国に行商され、行商人が持ち帰った都市部からの注文や情報から、そのデザインも次第に洗練されていき、今でも高級品のイメージがあります。
この輪島塗の漆の下にも、もちろん木地がありますが、材料には、能登半島に多く植えられている能登ヒバが多く使われています。
能登ヒバは石川県の県木にも指定されていて、耐久性の高い木材は海沿いの家屋の外壁などにも使われていて、この地域と文化的なつながりの深い木です。
分厚い漆で隠されてしまってはいますが、そこに確かにある木の存在感と、能登の風景とを思い浮かべながら使ってみたい。
そんな一生モノとして、お椀1つでも持っておきたくなる輪島塗です。
以上のような伝統的工芸品は、産地を訪ねて出会うのはもちろんのこと、東京で一挙に見られるスポットもありますので、チェックしてくださいね。
■伝統工芸青山スクエア:http://kougeihin.jp/
まとめ:森旅のお土産は、木の伝統的工芸品で決まり!
日本各地にある木の伝統的工芸品は、その土地に生えている木を使い、地域の文化と密接に結びつきながら発展してきたことがわかります。
現代の暮らしにも合うデザインを楽しみ、技術に感動するとともに、背景にある森のことも知っていたら、ますます奥深い味わいが感じられますね。
日本人ならどれか1つは持っておきたい、美しい工芸品の数々をご紹介しました。
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