旅する森と、木の暮らし。

旅する森と、木の暮らし。│MORiP!

日本三大美林へ!青森県津軽地方・青森ヒバの旅

日本三大美林の一つ、青森県にある「青森ヒバ」をご存知ですか?

ヒバの森は、日本国内では青森県や能登半島など限られた地域でしか見られない貴重な森です。

特にヒバの原産地といわれる青森県には、貴重な天然のヒバ林が広がっています。

今回のモリップは、青森県は津軽地方の自然や文化、グルメを巡る旅をご提案します。

青森観光をお考えの方は、青森ヒバをテーマにしたユニークな旅はいかがでしょうか。

青森県内の青森ヒバは、津軽半島と下北半島の両方に分布していますが、今回の旅では津軽地方をご案内します。

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青森ヒバが迎えてくれる新青森駅からスタート

2010年12月の東北新幹線全面開通を機に、青森観光の新たな拠点となった新青森駅(青森市)。

東京から約3時間で到着するこの駅は、青森県のお土産やレストランなども充実している観光スポットですが、ぜひ見ていただきたいのは、ロータリーに植えられた「青森ヒバ」の大きな木立です。

青森ヒバは、「青森県の木」に指定されていて、県を象徴する木となっています。

すぐ近くで見ることができるので、いったいどんな木なのか、駅を下りたら、まずはじっくり青森ヒバを眺めてみるのもいいでしょう。

まっすぐ伸びる立ち姿、厚みのある葉っぱなど観察していましょう。

この青森ヒバが天然の状態で山に立ち並ぶ風景を思い浮かべながら・・・。
写真もパチリ。

津軽地方はとても広いです。

旅の足には、駅前でレンタカーを借りるのがお薦めです。

日本最初の森林博物館で青森ヒバを知る

JR青森駅からバスで約10分、青森市内にあるのは、昭和57年に日本で初めてオープンした森林をテーマにした博物館「青森市森林博物館」(青森市指定有形文化財)です。

青森市森林博物館は、元は明治41年に建設された青森営林局庁舎で、青森県産ヒバ材を主に利用したルネッサンス式木造建物です。

青森ヒバでできた美しい建物を外から眺めるのもいいですが、せっかくなので中に入って、まずは青森ヒバや青森の林業についての基本的な情報をゲットしましょう。

入場料は一般240円。
青森県森林組合連合会が運営しています。

中に入ると、森林の役割や木の利用方法なの展示があり、やや情報は古いものの、基本的な知識を得られる展示があります。

ほかにも、山スキーの発展の歴史など青森県ならではの内容も。

また、何といっても青森ヒバについての展示は充実しています。
生態的な特徴や分布、青森ヒバを使った家具なども展示されています。

そして、2015年には新しく「森林鉄道」についての展示室がオープンしました。

森林鉄道ファンにはたまらないですね!なお、建物の外に出ると、実際に使われていた森林鉄道も展示されていますがここは無料で見ることができます。

詳しくはこちら:青森市森林博物館:http://www.aomori-shi.shinrinhakubutsukan.jp/

気軽に行ける青森ヒバの森はここ!

青森ヒバの森の多くは国有林の中にあり、大切に保護されています。

国有林の中に入るには、事前に森林管理署へ事前に申請を出す必要がありますので、急遽思い立っても行けないことも多いのです。

そんな時でも申請なしに安心して行けるのが、「眺望山(ちょうぼうざん)自然休養林」です。

眺望山自然休養林は、青森県津軽半島南部に位置しています。眺望山は海抜高143mほどの山ですが、周辺一帯は日本三大美林の一つであり、県木ともなっている「天然青森ヒバ」の美林がうっそうと茂った天然林の樹海、植栽後100年近く経つヒノキ、カラマツ、スギなどの人工造林地、ナラなどの広葉樹林と様々な樹種が見られるとともに、植物の種類も豊富で四季折々の色彩変化が堪能できます。

(東北森林管理局HPより引用:http://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/policy/business/management/hozen/kyuuyourin-tyoubouzanA.html)

青森駅から約20kmの距離にあり定期バスなどはないので、レンタカーで行くのがお薦めです。

2か所の登山口に駐車場とトイレがあり、頂上には展望台とトイレ、休憩できるベンチがあるので、お弁当を持ってハイキングするのによいコースです。

東口コースなら頂上まで1時間ほどで登ることができ、途中にはヒバの人工林や天然林、また「踊りヒバ」と呼ばれる巨木などを見ることができます。

ヒバについて解説された看板も所々にあります。

季節によってはヒメホテイランなどの貴重な山野草を見ることもできます。

青森ヒバで栄えた太宰治の町:「斜陽館」へ行こう

津軽森林鉄道の起点となり、青森ヒバの林業や製材業で栄えた町が、青森市から車で約70分の場所にある五所川原市の金木(かなぎ)町です。

ここは、作家の太宰治(1909-1948)の出身地でもあり、その生家が太宰治記念館「斜陽館」(国の重要文化財建造物)として一般公開されています。

元は旅館だったというこの立派な建物こそは、実は青森ヒバで建てられているのです。

中には広々とした座敷や豪華な客間、洋間など裕福な暮らしがうかがえます。

青森ヒバの柱や梁は黒光りして趣がある空間となっています。

建築好きな方なら、洋風小屋組みのキングポストトラスという屋根の構造も必見です!

小説「津軽」の舞台で、太宰の生涯に思いをはせながら青森ヒバのつくりだす空間を感じてみませんか?

ちなみに近隣にある桜の名所「芦野公園」には、太宰治の文学碑がありますが、この中の金木歴史民俗資料館には、津軽森林鉄道の機関車が保存されています。

斜陽館の詳細はこちら:http://dazai.or.jp/modules/contents/class-a01.html

五所川原市金木町を起点に奥津軽トレイルも!

金木町は、津軽三味線の発祥の地でもあります。

斜陽館のすぐ近くには「津軽三味線会館」があり、タイミングが合えば津軽三味線のライブを聴くこともできますのでおすすめです。

なお、この会館に事務局を置く「NPO法人かなぎ元気倶楽部」では、青森ヒバと森林鉄道軌道跡を巡る8つのトレッキングコースを整備・案内されています。

国有林に入って、青森ヒバの神木「十二本ヤス」や本格的なトレッキングを楽しみたい方は、ガイド付きのツアーに参加してみるとよいでしょう。

なお、国有林への入山許可やガイドさん、車の回送サービスなどの準備が必要ですので、2週間前までには予約をしましょう。

冬季は積雪もありますので、早めに状況を問い合わせるのがよいでしょう。

奥津軽トレイル倶楽部はこちら:http://www.kanagi-gc.net/okutsugaru_trail/

お土産にも青森ヒバはいかが?

青森県内の観光名所では、至る所で青森ヒバグッズに出会います。

その種類は大きく2つで、青森ヒバの「木材」と「精油」です。

水に強く腐りにくい、抗菌作用もあると言われるヒバの木材を使った商品には、まな板、コースター、入浴ブロックなどが。

また、独特の芳香にリラックス効果があるとされる精油には、アロマオイル、アロマミスト、消臭剤、精油を含む石鹸やハンドクリーム、化粧品などがあります。

精油関係は種類が非常に多いので、どれを買ったらよいか迷ってしまいますが、よく見ると使い方や希釈の度合いなどが書かれていますので、目的に合ったものを選びましょう。

中には、葉の香りと木の部分の香りを分けているラインナップもあったりしますので、お土産選びも楽しんでみて。

日本一長い木の三連太鼓橋は、青森ヒバでできていた!

五所川原市の南隣、スチューベンというブドウの生産量日本一を誇る鶴田町(つるたまち)には、地域の人に親しまれている津軽富士見湖という湖があります。

そばにある公園「富士見湖パーク」には軽食をとれる売店などもあり、春には桜の花も楽しむことができます。

津軽富士とは、青森県を代表する日本百名山、岩木山のこと。

その津軽富士を眺められる美しい橋が湖にかかっているのですが、これが実は日本一長い木造の橋とのこと、しかも青森ヒバでできているのです!

その名も「鶴の舞橋」といいます。

ずっと眺めていても飽きない美しい木の橋を、渡ったり写真に撮ったりして楽しんでください。

鶴の舞橋は平成6年7月8日、岩木山の雄大な山影を湖面に美しく映す津軽富士見湖に、日本一長い三連太鼓橋「鶴の舞橋」として架けられました。全長300メートルもの三連太鼓橋はぬくもりを感じさせるような優しいアーチをしており、鶴と国際交流の里・鶴田町のシンボルとして、多くの人々に愛されています。

(青森県鶴田町観光ウェブマガジン「メデタイ・ツルタ」より引用:http://www.medetai-tsuruta.jp/spot/sightseeing/tsurunomaibridge.html

概要

名称 鶴の舞橋
長さ 300メートル
幅 3メートル
橋脚の径 直径30センチ(樹齢150年以上を700本)
使用材料 青森県産「ひば」1等材
使用量 丸太3千本、板材3千枚(4LDKだと約30棟)

(青森県鶴田町観光ウェブマガジン「メデタイ・ツルタ」より引用:http://www.medetai-tsuruta.jp/spot/sightseeing/tsurunomaibridge.html

もちろん!青森のご当地グルメも楽しもう!

青森ヒバ以外にももちろん、旅の楽しみはたくさんあります。

五所川原市の北にある飛び地、旧市浦村エリアまで少し足をのばすと、十三湖(じゅうさんこ)という大きな湖にたどり着きます。

すぐそこは日本海。

岩木山や白神山地からの雪解け水と、海の水がまじりあう汽水湖です。

ここの名物といえば「しじみ」です!

十三湖中の島近くのパーキングには、しじみを味わえる売店が多く並んでいます。
しじみ汁、しじみラーメン、しじみソフトまで!?

新鮮な活しじみを郵送することもできるのでお土産にもいかがでしょうか。

豊かな森と水、海にも恵まれた津軽地方には、このほかたくさんのグルメがあります。

リンゴはもちろんのことブドウなどのフルーツ、「青天の霹靂」などのお米、地酒、そしてイカやホタテなどの海産物も。

変わったご当地ラーメンでは「味噌カレー牛乳ラーメン」がソウルフードになっているようです。

豊かな実りをもたらしてくれる森を思いながら舌鼓・・・。
グルメは旅の楽しみに欠かせません。

桜の名所、弘前城にも青森ヒバが?

東北の春を代表する桜の名所が、なんといっても弘前市にある弘前城公園です。

公園中に植えられたソメイヨシノやしだれ桜の大木が満開を迎える頃、毎年さくら祭りも開催され、多くの観光客が訪れます。

弘前市は、青森市とはまた違った城下町の風情溢れる町ですので、ゆったりと市内観光もおすすめです。

地域の人や全国から愛される弘前城天守閣は現存十二天守の一つであり、石垣の上にそびえたつ姿は圧巻です。

現在(2017年春)は石垣の修復作業のため天守閣はまるごと大移動しており、岩木山と桜と天守閣を同時に眺められるチャンスです。

この天守閣も、実は青森ヒバで建築されています。

他の地域の天守閣といえば、ヒノキで造られるイメージですが、ここ青森県では積雪が多く、ヒノキが自生していませんでした。

そのため建築物の多くが、ヒノキにも勝る耐久性を持つ、この地域特産のヒバで建てられたのでしょう。

津軽の建築や名所は、青森ヒバが支えているといってもいいかもしれませんね。

まとめ:青い森で、ヒバの存在を感じる旅を!

そういえば青森県は、唯一名前に「森」が付く県。

そこには豊かな森がありました。

青森ヒバをテーマに、森で育つ様子や、青森ヒバの町で生まれた文学や音楽文化、そして厳しい気候にも耐える青森ヒバの木造建築を見れば、津軽地方の暮らしや文化を支えてきた森や木の存在を感じることができます。

豊かな自然の源である森とそこに生きる青森ヒバに、一度は触れてみてはいかがでしょうか。

この記事の編集者

モリップ編集部 MORiP!

MORiP!を運営する編集部のメンバーたちが、選りすぐりの情報をお届けします。あちこちに散らばる森や木についての基礎知識をわかりやすくまとめることを目指しています。編集部みんなで実際に行ってきた森旅もご紹介しています。

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